国債とは何か

ラボ

国債は国民の借金」 こんなニュースを見て、「日本は大変なことになっている」「若い世代の負担を増やすな」こんな感想を持つ人がたくさんいると思います。実際、僕も以前は「国は何をしているんだ」と憤りを感じていました。

しかし、この国債=国民の借金という認識には大きな誤解があります。 国会での議論でも、国債のこと勘違いしていない?と思う場面さえあります。

そこで今回は「国債とは何か?」について、分かりやすさを最重視し解説していきたいと思います。この記事を読めば、ニュースの見方が変わるかもしれません!

結論:国債は「国民の借金」ではない

結論から話すと国債は、政府がお金を借りるために発行する借用書(借りたことを証明するもの)のことです。なので、「国民の借金」というより「政府の借金」です。

そして最も重要なポイントは、政府が借金をしている相手が日本国民だという事です。(注意:全員が日本国民ではないですが、9割以上が日本国民なため)

そのため、逆に言うと私たちに返すべきお金とも捉えられるのです。ややこしくなってきたところで、国債について詳しく解説していきたいと思います。

基礎知識

インフレ:お金の価値が下がること、需要が供給を上回ること
(例:お金を刷りすぎればお金の価値は下がる。大勢の人が10台しかないIphoneを欲しがれば価格は高騰する。)

デフレ:お金の価値が上がること、需要が供給を下回ること
(例:お金を刷らなければお金の価値は上がる。100人しかいない村に1000個のリンゴを持って行っても全部売れないので価格を下げる。)

誰かが借りる=誰かが貸している(誰かが損=誰かが得と同じ構造)

借金のとらえ方

私たちは借金と聞くと、自分の家の住宅ローンやカードローンをイメージしてしまいます。しかし、このように考えることが誤解なのです。実際に「家庭の借金(=私たちがイメージする借金)」と「政府の借金(=国債)」の違いについて整理していきたいと思います。

「家庭の借金」と「政府の借金」の違い

違い1つ目

  • 家庭の借金:他人からお金を借ります。返済できなければ、資産を失います。
  • 政府の借金:9割以上が国内からお金を借ります*¹。(家族の中で父が母からお金を借りるイメージ)

さらに、貸し手の半分は日本銀行です。日本銀行は政府の子会社のような存在であるため、これは政府が子会社から、自分で発行できるというお金を借りているということです。

違い2つ目

  • 家庭:自分でお金(日本円)を刷れません。
  • 政府:日本政府は、自国通貨である「円」を発行できます

これを「自国通貨建て国債」と呼び、財政破綻のリスクが極めて低いです。

違い3つ目

  • 家庭の借金:主に消費に使われます。
  • 政府の借金:主に公共サービスや公共事業、議員の自己研鑽に使われます。

例えば、政府が1兆円の公共事業を実施すると建設会社に1兆円が支払われ、そのお金は従業員の給料や下請け企業への支払いに回り、さらにそのお金が消費され…というように、経済にお金が巡ります。つまり、政府の借金は、誰かの資産になっているのです。

問題点

国債を刷りすぎると財政破綻するという考え方が必ずしも正しくないことは、他国の例を見ると分かります。国が破綻する本当の理由は何なのでしょうか?

ギリシャ

ギリシャはユーロ圏内なので、自国通貨を持たず欧州で共通なユーロで国債を建てていました。そ自国でユーロを刷ることができないため、返済をする際にユーロがなく財政破綻をしました。

アルゼンチン

アルゼンチンは自国通貨(ペソ)を持っていながら、ドルペッグ制(日本円でいう1ドル=100円と固定すること{これをペソで行った})を採用していたため、ドル建ての国債を建てていたのですが、自国でドルは刷れないため返済できずに財政破綻を起こしました。

ロシア

ロシアのケースは少し特殊で、自国通貨(ルーブル)建ての国債で破綻しました。これは、ソ連崩壊後の経済が非常に不安定で、政府が十分な税金を集められなかったために国債を短い期間かつ高金利で発行して資金を調達したことで返済が不可能になり、財政破綻を起こしました。

ここで疑問が生まれます。外貨建てはダメで高金利はダメだと分かったけれどお金の刷りすぎもハイパーインフレにつながるからダメなのでは?と

ハイパーインフレの懸念

インフレの本当の原因:国債をたくさん発行することがハイパーインフレの原因だと考えがちです。しかし、戦後のドイツなどの歴史的なハイパーインフレの本当の原因は、戦争や政治の混乱によって国の生産能力が徹底的に破壊されたことだということです。供給できないのにお金だけがある状態なので物の値段が高騰するのです。

日本の状況

現在の日本はデフレが長年続くなど、物やサービスを供給する力に対して、需要が足りていない状態です。この状況で国債を発行して政府が需要を作り出しても、悪性のインフレにつながる可能性は低いと考えられます。国債の額ではなく、国の供給能力こそが問題なのです。つまり、日本は輸入に頼っていますがこれを自国で賄えたら供給量はあがるため、ここにお金を刷って使うなどの例が最もよい例なのです。

まとめ

今回の記事で、国債に対するイメージが少し変わったのではないでしょうか。

もちろん、政府が無限にお金を刷っていいわけではありません。過度な国債発行は、急激なインフレを引き起こすリスクも抱えています。大切なのは、国債の額の大きさだけで不安を煽るのではなく、その国債が、国民の生活や未来のために有効に使われているか?という支出の中身を、私たち国民がしっかりと監視していくことです。

この記事が、「国の借金」という言葉に惑わされず、日本の財政や経済を冷静に見るための一助となれば幸いです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。
ご意見・ご質問・ご要望がある方は以下のTwitterやInstagramのdmまでよろしくお願いいたします。

出典

*1: 財務省「国債等の所有者別内訳」(令和7年6月末)https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf

参考文献

森永康平:誰も教えてくれないお金と経済のしくみSimplicity | 内部SEO施策済みのシンプルな無料WordPressテーマSimplicity | 内部SEO施策済みのシンプルな無料WordPressテーマ

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